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遺族会と共に韓国政府と面談しました

 

 201963() 1045分~12時、韓国・ソウル KTスクエア 14Fにて、「刻む会」井上洋子共同代表、山内弘恵書記、韓国遺族会より副会長・楊玄(ヤン・ヒョン)さん、事務局長・孫鳳秀(ソン・ボンス)さんをはじめ、合計10名のご遺族と共に韓国行政安全部 過去史関連事業支援団 強制動員犠牲者遺骸奉還課との交渉を行った。韓国遺族会にとって、結成された92年に日本政府と韓国政府両方に建議書を提出しているが、韓国政府と交渉を持ったのは今回が初めて。もちろん、「刻む会」にとっても韓国政府との交渉は初めてのことだった。

 

 今年(2019年)2月末、井上共同代表が、韓国大統領宛てに手紙を出した。内容は、G20サミットで日本に来日する時に、ぜひ長生炭鉱を訪問して欲しいというもの。そして、この手紙に何と、返事が来たのだ!もちろん、大統領本人からではないが、韓国政府・外交部が窓口を提示してきた。この機会を逃すわけにはいかないと、面談を申入れ、直接の担当課である「行政安全部」が対応してくれることとなった。私たちの交渉に参加するために全国から関係部署の職員が7名同席した。

 

 今回初めて知ったことであるが、行政安全部の中に過去史関連業務支援団・強制動員犠牲者遺骸奉還課という部署が昨年11月にでき、これまで韓国政府が調査してきたことや、日韓条約及び日韓首脳会談等を踏まえ、遺骸奉還問題について、現在のデッドロック状態を解決するために新たにできた部署なのだ。

 

 最初は、緊張感に包まれ、面談が始まったが、「刻む会」のこれまでの活動の紹介や何を目的に交渉に来たかを伝える、お互いの意見が同じ方向を向いていることが分かり、良い雰囲気に変わっていった。

 

 まず、「刻む会」から、昨年2回の日本政府との交渉を経て、日本政府が韓国政府からの具体的な要求がないことを理由としているので、長生炭鉱の遺骨収集について日本政府に具体的に要求して欲しいということ、そしてその実現のために、現地調査に来て欲しいということ、さらに、現在日本とは外交上、難しい状況であることは理解しているが、人権上の問題として外交問題と切り離して対応して欲しいという3つのことを要求した。遺骸奉還課の課長には意欲的な姿勢で対応して頂いた。

 

 さらに、「刻む会」が行っているDNA調査についても、遺族会からの申請があれば、政府で行うことも可能との話や、遺族会が把握できていない遺族についても橋渡しをしてくれるなど協力的な姿勢であった。

 

 

 

今回の面談で、これまで韓国政府と交渉することができなかった遺族会が交渉する窓口を得たことが大きい。

 

日韓関係が難しくなっている今だからこそ、この問題の解決を通して、日韓が協力して事業を行うことは日韓の関係改善の一筋の光だと私は思う。